Archive for the ‘【交通事故知識】’ Category
交通事故の示談期間
交通事故示談期間の法律相談
相談者「交通事故の被害者です。弁護士に依頼すると示談までの期間はどのくらいですか?」
弁護士の回答=示談期間
弁護士「治療終了時=症状固定時から依頼した場合の目安(事案によって異なりますのであくまで経験上の感覚になります)は次の①②とおりです。①後遺障害手続をしないで示談交渉をする場合=約3週間~2か月半程度,②後遺障害手続をする場合=約2か月半~7か月程度(特に②は,お客様が資料を早く揃えられるかどうか,・後遺障害の結果に対して「異議申立て」をするか等によって示談期間は異なりますので,幅を持たせています)。弁護士に依頼するか否かで示談金の額は異なるのが交通事故です。適正な賠償額を獲得するためには待ちましょう。」
示談期間の解説
1,交通事故を弁護士に依頼してから示談までの期間はどのくらいでしょうか?
「既に弁護士に依頼されている方」,「これから弁護士に依頼しようとしている方」のために,ある程度の示談期間の目安を書いていきます。
(前提)
損害賠償請求ができるのは不法行為時(事故時)なのですが,賠償額を確定することができるのは症状固定時(症状の改善が見込めなくなった時期)です。慰謝料,治療費及び休業損害は,(原則)症状固定時までのものを請求することができます。したがいまして,症状固定時まではきちんと治療をしていただくことを前提に,そこから示談までどのくらいの期間がかかるかご説明致します。
【1】 資料を受領するまでの期間 5日~1か月程度
医療機関の多くは月末締めで診療報酬を保険会社に請求致します。
保険会社は届いた請求に基づき医療機関に診療報酬を支払ったあと,診断書等の関係資料を弁護士に郵送します。
(例)例えば3月1日が最後の通院ですと,3月末締めなので,保険会社に請求が来るのは4月半ばぐらいのことが多いです。保険会社は医療機関に支払ったあと,診断書や診療報酬明細書などの資料を弁護士に送ります。この場合,弁護士の手元に資料が届くのは4月下旬になるということもあります。
【2】 資料が揃ってからの検討や起案 上記【1】+5日~1か月程度
弁護士は保険会社から届いた資料やお客様が用意した資料を検討し,賠償額の算定作業などを行います。
① 後遺障害申請をする場合は,申立書等の書面作成をする。
この期間は,弁護士事務所や業務状況によります。
当事務所は,資料到着後10日以内には手続を完了できるように迅速に対応しております。
ただし,注意が必要なのは,お客様に揃えていただく資料があります(印鑑登録証明書など)。このような資料がないと,弁護士はすでに準備出来ているものの,先には進めない状態になってしまいます(となると当然1か月以上かかってしまうこということもありますのでご注意ください)。
② 後遺障害申請をしない場合は,和解提案書等の書面作成をする(下記【4】へ)。
【3】 後遺障害申請の結果がでるまでの期間 上記【1】【2】+3週間~3か月程度
3週間程度で結果がでる場合もあれば,上部審査会の検討やカルテ開示などもあって,3か月もかかる事案もあるので,「事案による」ということになります。
【4】 示談成立までの交渉期間 上記期間+1週間半~2か月半程度
争点(過失割合等)の数にもよりますので,一概には言えませんが,あくまで目安を提示致します。
※ 上記【1】~【4】は示談交渉ベースでのお話になります。
お客様の協力状況や事案によって異なりますので,あくまで一例として理解していただければと考えております。
2,示談期間のまとめ
◆ 後遺障害申請をしない場合 → 約3週間~2か月半程度
◆ 後遺障害申請をする場合 → 約2か月半~7か月程度
お客様の協力状況や事案によって異なりますので,あくまで一例として理解していただければと考えております。
3,訴訟提起(裁判)したらどうなるか?
「2,示談期間のまとめ」+約7か月~1年半程度かかります。
ただし,訴訟は,遅延損害金と弁護士費用の10%のみを請求することができます。もっとも,訴訟を提起しても,判決までいく事案はそう多くはありません。訴訟のなかで和解をしていくことになります。和解の場合,遅延損害金や弁護士費用10%はカットされます。ただし,東京地裁では,和解する場合,多くの事案で「調整金」というものが加算されます。
気軽にお問い合わせください
交通事故のお悩みがありましたら気軽にご相談ください。
電話 03-6304-8451
メール seki@sekisogo.com
治療費打ち切り相談
1,治療費打ち切りの相談
相談者「損保の担当者から電話で一方的に「今月末で終わりにします」と言われました。まだ痛いですし,医師ももう少しリハビリを続けるように言っています。どうしたらよいでしょうか?交通事故に強い弁護士さん,教えてください。」
2,弁護士の回答=治療費打ち切りの対抗策!
弁護士「①医師から症状固定の時期についての意見書・診断書をもらってください。診断書・意見書の内容によって,一括対応期間を延長することができることがあります。②延長できないときは,医師に症状固定の時期がまだ先であることを確認したうえ(カルテに残してもらう,意見書・診断書をもらう),健康保険に切り替えて3割負担で通院していくことが考えられます。そして,3割負担分,治療期間は保険会社との交渉次第になります。③仮に保険会社が「3割負担分も払わない,治療期間も保険会社が打切り時以降は認めない」という見解の場合でも,自賠責の範囲内(治療費と慰謝料などすべてあわせて120万円が限度※ただしこれまでの一括対応中の治療費等の既払い金も含むので注意)であれば被害者請求による回収が可能なことが多いです。④自賠責の枠(120万円)がない場合には,訴訟(裁判)で裁判官に固定時期を判断してもらう必要があります。」
3,治療費打ち切りの解説
(1)治療費打切りと治療終了はイコールではない!
加害者の任意保険会社(以下「任意社」といいます。)による治療費打ち切りは,治療終了を意味するものではありません。
任意社が一括対応を終了するだけのことです。
一括対応というのは,任意社が(※のちに任意社が自賠責から治療費等を回収します)病院などの治療費をいったん立て替えて支払いをしているだけということです。つまり,立て替え払いを終了するということなのです。
立て替え払いを終了の理由は色々ありますが,下記理由が多いです。
・治療の目途が見えないための判断か?
・医療照会や医師面談を踏まえての判断か?
・事故と怪我の因果関係を争うための判断か?
(2)それでは治療終了はいつなのか?症状固定の理解が必須!
交通事故の被害者は「症状固定」になるまでの間の因果関係のある損害を請求することができるのです。
「症状固定」とは,事故による怪我の治療やリハビリをひと通りしたけれど,これ以上よくならない状態です。
したがって,医師にきちんと症状と伝える,改善の余地があるのか含めてを医学的に判断してもらい,診断書などで症状固定の見込み時期等の医学的意見を書いてもらう必要があるのです。
もちろん,保険会社も先手を打って,医師に医療照会をというものを行っている可能性があります。医療照会では症状固定の見込み時期をチェックする欄がありますので,先に打ち切り日を見込み時期として書類化されてしまっていると,延長などは困難なことが多いです。
裁判では医師が後遺障害診断書に記載した症状固定日を当然重視はしますが,事故態様と症状と治療方法や改善可能性から,どの程度の治療期間が妥当なのかを実質的にみていくことになります(実際には症状固定日が争点になる事案もありました。)
症状固定は,交通事故実務特有の概念だと考えます。
賠償に目途をつけるという意味もあります。
例えば軽微な事故でむちうち等で1年等は実際はあり得ないというのは実務でも共通認識であり,長くても6か月,後遺障害が残るレベルの事故でもむちうちの場合は6か月~10か月(10か月もほぼまれ)くらいが当職の経験です。
なお,むちうち以外の骨折でプレート除去手術等がある場合は,除去等をしてからになるため,1年を超えることはあります。
(3)打ち切り後の治療費は全部自己負担になってしまうのか?
治療費を打ち切られたあと,治療費は全部自己負担になってしまうのでしょうか?
上述2の治療費打切りの対抗策で回答した内容をもう少し掘り下げてみます。
ⅰ)加害者の任意社と健康保険通院で支払約束をしてもらう。
任意社は,まだ改善の余地がありそうだけど(医師からも固定の確認がとれてない),治療費が膨らみすぎているので,とりあえず一括対応を終了すれば,治療をやめてくれるのではないかという理由で,治療費打ち切りにでている場合があります。
この場合,任意社は健康保険に切り替えれば,治療費(3割)を支払ってくれる約束をする場合も多いです。
健康保険のほうが,自由診療より治療費の負担額が半分以下になるので,支払いを抑えられるため,という理由が背景にあるのではないかと考えます。
その際「第三者行為による傷病届」を作成します。この書類のなかには誓約書等の書類も含まれており,加害者(または任意社)に書類を作成してもらう必要があります。
それによって健康保険組合は保険会社に7割分を求償請求するのです。
このような書類の取り付けなども弁護士に依頼することでお客様の負担は軽減されます。
ⅱ)加害者の任意社と症状固定後,示談交渉時に話し合いをする。
交通事故の賠償は症状固定にならないと決まらない・算定できません。
そこで,症状固定後,示談交渉時に治療費の立替分(3割)と治療期間の2点の話し合いを行います。
通常はこのパターンが多いと思います。
自賠責保険会社から回収できるか,裁判になったらどうなるかという予測のもと話し合いができるので,保険会社もこのパターンを採用することが多いです。
もちろん,保険会社によっては,100%認めないという最終決断をする場合があります。
その場合は下記に詳述するⅲ)以降の対応が必要になります。
ⅲ)加害者の自賠責保険会社に被害者請求をする。
任意保険会社が全く対応してくれないのであれば,既払い金などを考慮して,120万円の範囲内であれば,被害者請求で回収できる場合もあります。
被害者請求(傷害分)をするには,一括終了後の通院についても交通事故による通院であることの証明が必要になるため,自賠責用の診断書を作成してもらうほか,診療報酬明細書,立て替えた領収書などを集める必要がでてきます。
被害者請求は弁護士に依頼することで,間違いなく行うことができ,お客様の負担は軽減されます。
ただし,既に治療費が膨らんでいて120万円の枠がない場合や,加害者が車やバイクではなく,自転車の場合には被害者請求ができません。
ⅳ)労災保険で治療を続ける。
通勤中の事故などであれば,労災保険を使って治療を続ける方法があります。
基本的には,健康保険の前に,労災保険の使用を検討します。
ⅴ)ご自身が加入している保険の人身傷害保険や搭乗者傷害保険を使って治療を続ける。
ご自身の加入している保険の人身傷害保険や搭乗者傷害保険を使用することで,自己負担なくして通える場合もあります。
ただし,打切り事案の場合,被害者付保保険会社も,慎重になることが多いです。
「事故原因調査をする」という会社がほとんどで,時間がかかることもあるかもしれません。
ⅵ)訴訟提起する。
最終的には裁判所に固定時期を判断してもらうべく,訴訟を提起しなければならない場合もあります。
(4)打ち切られた後は経済的に厳しいけど・・・
ⅰ)人身傷害保険や搭乗者傷害保険の見舞金は受け取りましたか?
車やバイクの事故の場合,被害者自身の保険会社には必ず連絡を入れましょう。
例えば「通院5日以上で10万円を見舞金としてお支払します」との特約がついている場合があります。
ⅱ)仮渡金の請求(自賠法17条)というものがあります
交通事故は治療が終了するまでは損害が確定しません。
そこで,自賠法は被害者救済の趣旨から,仮渡金の請求というものを認めています。もっとも「仮」なので,あとで損害確定時に総損害からは控除されますので,最終的な受取額がその分少なります。
ア.死亡
→ 290万円
イ.①脊柱の骨折で脊髄を損傷,②上腕または前腕の骨折で合併症,③大腿又は下腿の骨折,④内臓の破裂で腹膜炎を併発,⑤14日以上病院に入院することを要する傷害かつ医師の治療を要する期間が30日以上のもの
→ 40万円
ウ.①脊柱の骨折,②上腕又は前腕の骨折,③内臓の破裂,④病院に入院することを要する傷害、⑤14日以上病院に入院することを要する傷害
→ 20万円
エ.11日以上医師の治療を要する傷害を受けた者
→ 5万円
4,お困りの方はお問い合わせください
治療費打ち切りでお困りの方は気軽にお問い合わせください。
TEL 03-6304-8451
メール seki@sekisogo.com
文責 弁護士 関 真悟
追突事故の過失
追突事故の法律相談
相談者「信号待ちで停車中に追突されました。こちらの過失は0ですか?また今後どのように対応していったらよいですか?。」
弁護士の回答内容
弁護士「はい。原則,追突事故の被害者の過失は0です。例外として,不必要な急ブレーキや駐停車禁止区域での駐停車の場合に過失割合が問題になります。お客様の相談内容をみると過失は0で間違いはないです。今後の対応ですが,通常の交通事故と何ら異なるところはありません。①警察を呼ぶ,②事故処理をする,③診断書をとる,④警察に診断書を提出する,⑤相手の保険会社から連絡がくる,といった流れを辿ることになるかと考えます。」
弁護士の実務解説
1,追突事故の過失割合の原則
追突事故の過失割合は上記法律相談のとおり,被害者の方は,原則0と考えてよいです。
追突されたほうには過失がなく,追突車のほうによる一方的過失があるからです。
・赤信号停車中
・渋滞中の停止
・停まれ規制による停止
いずれにおいても,被害者のほうは過失0になります。
2,追突事故の過失割合の例外
ただし,被害者のほうにも過失が認められる場合は,過失は0にはなりません。
以下判例タイムズ別冊【38】の図を使用して説明をしていきます。
(1)被害者の急ブレーキ事案
急ブレーキをかけることは,やむを得ない場合を除き,法律で禁止されております(道路交通法24条)。
したがって,法24条に反すると,0:100が「30:70」に基本原則自体が変わってしまいます。
ただし,後続車(加害車両)に速度違反が認められると,違反速度にしたがって修正され10~20:90~80くらいになる可能性もあります。
(2)駐停車禁止場所や駐停車方法不適切や非常点灯等の不灯火等の事案
駐停車禁止場所での駐停車は,他の交通を妨害し,事故の危険発生を高めることになるので,0:100が「10:90」に修正されます。
非常点灯等の不灯火等は,夜間などは,点灯等で警告しておかないと後続車が駐停車車両を発見できないことになるため,0:100が「10~20:90~80」に修正されます。
駐停車方法不適切は,道路交通法が,左端かつ他の交通妨害にならないようにするように要求しているので,それに違反すれば過失が0:100が「10~20:90~80」に修正されます。
ただし,後続車(加害車両)に速度違反が認められると,更なる修正が加わり,0:100になる可能性もあります。
3,追突事故も多種多様
追突された被害者は全く身構えていない状態ですので,衝撃は非常に強いはずです。
衝撃音とともに首や腰を捻って,強く揺さぶられ,車内で複数回打ち付けられます。
私道,国道,駐車場内,高速道路,右折時・・・・。
追突事故といっても,
・加害車両の速度が出ている場合,脳に損傷を与えることもありえます。
・事故直後から痛みが出てくることもありえます。
・事故直後に痛みがなくても,後になってから痛みがでてくることがありえます。
と事故態様等によって様々ですが,事故直後はきちんと警察(内容によっては救急車も)を呼ばなければなりません。
4,保険会社からの連絡が辛い場合
被害者には何らの落ち度がない追突事故ですが,当日または翌日から加害者側の保険会社から連絡がきます。
なぜ落ち度がないのに,何度も電話がかかってくるのか?電話自体が苦痛であるというお話もよく聞きます。また,同意書等の書類が送られてきて,何だか保険会社に丸め込まれてしまうのではないかと不安を感じたというお話もよく聞きます。
このような不安等は,弁護士をつければ,解消します。弁護士が窓口になりますので,弁護士がすべて対応します。
なお,ご自身が加入されている保険会社にも連絡をいれるべきです。搭乗者傷害特約や人身傷害特約に見舞金の特約がついている場合は,規程の通院日数を確認できると10万円程度の見舞金がもらえるからです。
5, 物損をクリアしなければならない
車の損害で疑問点が出てくると思います。
修理費用と時価額という問題です。
例えば,修理費用が50万円で,車の時価額が30万円とすると,
保険会社は,修理ならば「30万円で修理してください」,買い替えるならば「30万円まで出します」と言ってくるかもしれません。
このときに,加害者が対物超過特約に加入しているのか,ご自身の保険に車両保険や新車特約がついているか,何年スパンでどのくらいの保険料が上がってしまうのか等の細かい話も必要になってきます。
物損で損をしないためにも弁護士をつけた方が良いのです。
買い替えの場合の初期手数料の請求はもちろん,時価額からの若干の増額の交渉もできる場合もあります。
6,追突事故は弁護士に相談するのがベスト
追突事故は,当然上記のような過失割合の例外場面もありますし,事故態様や症状は様々です。
まずは物損の処理も必要になってきます。
軽微・重大を問わず,早い段階で弁護士に相談することがベストです。
当事務所のお問い合わせフォームはこちら⇒ クリック
交通事故のセカンドオピニオン
交通事故セカンドオピニオンの法律相談
相談者「交通事故で既に弁護士に依頼しているのですが,セカンドオピニオンとして相談することは可能でしょうか?」
弁護士の回答内容
弁護士「はい,可能です。弁護士費用特約に加入されている場合は,事前に弁護士費用特約の保険会社に電話をして,事務所に相談に行く旨を伝えていただけると幸いです。」
弁護士の実務解説
1,弁護士のセカンドオピニオンは増える?
セカンドオピニオンという言葉は主に医療業界で使われている言葉です。
患者が適切な治療方法等を選択していくために,主治医以外の医師の意見を訊く・求めることです。
医療業界ではセカンドオピニオンは通常です。
弁護士も近年セカンドオピニオンを求められることが多くなっております。
①依頼している弁護士が動いてくれない・やる気がない・主張してくれない
②依頼している弁護士のやり方は間違っていないか・他にどのようなやり方が考えられるか
今後も弁護士のセカンドオピニオンというものは増えていくのではないかと予想されます。
2,弁護士のセカンドオピニオンの壁?
セカンドオピニオンを求める為に相談にきていただくことは推奨されるべきです。
他の弁護士の意見を聞いて,今依頼している弁護士と信頼関係を再構築していただくきっかけになっていただければいいですし,
逆に,今依頼している弁護士が通常ではないことを認識し,別の弁護士に依頼すべきではないかというヒントになればよいのです。
いずれにおいても,考えるきっかけになっていただければ幸いです。
ただし,セカンドオピニオンを求められた弁護士側は,受任事件の不当介入にあたると倫理違反になってしまうので,慎重にならざるを得ないのは事実です。
実際,一般的な法律見解やアドバイスはできますが,ある程度解決段階にまできている場合,結果は変わらないことが多いですし,今依頼している弁護士とよく話し合ったほうがいいですよと,という結論になることも多いです。
もっとも,依頼している弁護士が懲戒されてしまい事件がストップしてしまった場合等は,セカンドオピニオンを求められた弁護士側も,積極的に受け入れてくれる場合が多いと思います。
3,交通事故のセカンドオピニオンは弁護士費用特約を使用できる!
弁護士費用特約は1事故につき10万円の相談料と300万円の弁護士費用を補償する内容のものがほとんどです。
今依頼している弁護士の相談料が3万円くらいしかかかってないのであれば(なお,受任後は相談料はかかりません),残り7万円はセカンドピニオンを訊くための相談料として使用できるのです。
他の弁護士の見解を聞きたいというのであれば,まずは法律相談を予約してみるのは「あり」だと考えます。
むちうち後遺症
むちうち後遺症の法律相談
相談者「交通事故の治療が終わりました。むちうちで後遺症が認定されるポイントや手続の流れを教えてください。」
回答=むちうち後遺症のポイント
弁護士「後遺症は自覚症状が自賠法施行令別表第2の後遺障害と認定されなければなりません。認定する機関は,加害者が自賠責保険に加入している車の事故の場合,自賠責調査事務所(損害保険料率算出機構)になります。資料を集めて,ポイントを押さえた申立書を作成することはメリットがあります。①事故状況(物損状況,受傷態様も)②画像所見,③神経学的所見,④症状の一貫性(症状推移),⑤治療状況・通院状況などから自覚症状を医学的に説明また証明をしていくことになりますが,専門性が要求される分野なのでまずは弁護士に相談しましょう。」
※近年,行政書士等が後遺障害の手続をします!と宣伝しているようですが,ご注意下さい。行政書士はその後の裁判基準(弁護士基準)での慰謝料等の交渉ができませんので,再度弁護士に依頼する必要が生じるため,二重に費用がかかる例をよく見ます。
むちうち後遺症の実務解説
1,むちうちとは何でしょうか?
むちうちとは,主に頚椎捻挫,外傷性頸部症候群,外傷性頚椎症,頸部挫傷,腰部挫傷,腰椎捻挫等の傷病名の診断を受けているものです。
むちうちは,骨折や脱臼等の外傷性の異常所見や神経損傷等の明らかなものがない「目に見えない痛み」になることが多いのです。
そのため,①事故状況(物損状況,受傷態様も)②画像所見,③神経学的所見,④症状の一貫性(症状推移),⑤治療状況・通院状況などから,残存する神経症状が後遺障害にあたるかを説明または証明していく必要があるのです。
2,後遺障害手続で何級が認定される?
・非該当
・14級
・12級(ほぼない)
のいずれかになります。14級に該当するか,というところが1つのポイントです。当事務所では経験とデータからある程度予想が立てられます。
3,自賠責調査事務所の判断理由を分析
3-1,非該当と14級の差
14級は,上記①から⑤をみて,「将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられるもの」が該当するものとされています。
認定理由のなかで,「外傷性の異常所見は認められず,後遺障害診断上,自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから,他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられません。しかしながら,治療状況,症状推移なども勘案すれば,将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから,別表第二第14級9号に該当するものと判断します。」という記載がよくあります。
これによれば,⑤治療状況や④症状の一貫性(症状推移)でも認定され得るということになります。ただし,実際の実務では,画像所見が大切だと考えます。画像所見はもっとも客観的なものだからです。もっとも例えばヘルニアなどがみつかっても,それが外傷性である必要があり,逆に,経年性のものであると証明されてしますと画像所見は有力な証拠とはなりません。
3-2,14級と12級の差
頚椎捻挫後の神経症状が「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号),「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)に該当すれば,後遺障害となります。
14級9号と12級13号の違いは,「頑固な」が入っているかどうかです。
「頑固な」が入っているかどうかの違いですが,骨折や脱臼等の外傷性の異常所見や神経損傷等の明らかなものがない限り(あっても必ず認定されるものではありません),12級というのものはなかなか認定されるものではありません。
実務では,12級は障害の存在が医学的に「証明」できるものであり,他方,14級は障害の存在が医学的に「説明可能」あるいは医学的に「推定」されるものという区別で認定するという運用がされています。
4,後遺障害手続の方法・資料について
手続の方法や資料については,下記の弊所の被害者請求の記事をお読みください。
5,まとめ
以上むちうちの後遺症のポイントを簡潔に記載しましたがより詳細を知りたい方は無料相談を申し込んでください。
お問い合わせはこちら⇒ クリック
【交通事故】後遺障害手続きをする場合
後遺障害手続きをする場合,お客様にも協力していただくことがあります。
お客様には,原則として,①印鑑登録証明書,②後遺障害手続用の委任状,③画像,④後遺障害診断書の4点を揃えていいただきます。
①は,区役所や市役所で取得してください。
②は,当事務所で用意致しますので,ご記入お願いいたします。
③は,通った病院で撮影したMRIなどをCD-ROMにしてもらう等して取得してください。
④は,医師に作成してもらってください。④を更に詳細に記載してもらうために当事務所で用意してある別の資料もあります。ご希望される方には交付するので,作成してもらってください。
画像取得や診断書作成で文書費等が発生してしまいます。後遺障害が認定された場合には,これらの費用は交通事故と因果関係のある損害になりますので,きちんと請求することができますので,ご安心ください。
なお,画像を取得しないまま後遺障害手続きをすると,自賠責調査事務所より,〇〇病院の画像と〇〇病院の画像を取得してください,という手紙が届きます。われものシールと取得費用を支払いますので領収書を添付してください,というお知らせが届くのです。なんと,着払い伝票も入っているのです。実費対策になりますが,最初から取得しないで費用対策で申請するのではなく,「他の病院の画像も取得してください」というときだけにこれを利用するべきです。
【交通事故】有給休暇と休業損害
有給休暇を使った場合,休業損害は発生するのでしょうか。
有給休暇を使えば,給与は全額支給されるので,計算上,休業損害は生じておりません。休業損害をもらえるとすれば,二重取りになるような気がします。
しかし,自由に利用できるのが有給休暇です(年休自由利用の原則)。
交通事故の治療のため,有給休暇を旅行等に利用できなかったとすれば,いくら給料のでる休暇とはいえ,損害は発生しているように考えられるところです。
したがって,実務では,有給休暇を使った場合でも,原則として休業損害は発生します。
ただ,過去にあったのですが,保険会社は,有給休暇を使った日に通院していないと争ってくることもありますので注意してください(むち打ちのなかでも軽い事案でした)。
なお,休業損害証明書には【欠勤,年次有給休暇,遅刻,早退】と日数を記入する欄があります。有給で休んだ場合でも,休業損害証明書にはしっかりと記入しましょう。
【交通事故】傷害による損害の先行示談
交通事故の損害は,①傷害による損害,②後遺障害による損害,にわけることができます。
①傷害による損害は,症状固定時に確定します。
②後遺障害による損害は,症状固定後に手続きをし,審査の結果,後遺障害に該当すると判断された場合に限り,発生します。審査の結果がでるまでには,2か月以上かかる場合もあります。
原則として,①と②はあわせて示談交渉をするのですが,お客様によっては「2か月以上も待てない」「生活費が足りないので,慰謝料を先にもらえないのか」という希望があるかと思います。
このような希望がある方の場合,①傷害による損害の先行示談ということができます。傷害による損害(傷害慰謝料,休業損害,通院交通費等々)だけ先に示談をしてしまう方法です。これによって,例えば,2か月以上も待つことなく,90万円の示談金を先に獲得することができるのです。
注意が必要なのは,傷害による損害の先行示談をする場合,示談書や免責証書には,必ず,後遺障害は別途,後遺障害を除くなどの文言を入れなければなりません。
傷害による損害の先行示談は,弁護士が行う場合,当然ですが,弁護士基準にて,示談書や免責証書には細心の注意を払って示談をしますので,お任せください。
【交通事故】警察への届出義務
交通事故が起きたら,警察への届出は義務です(道路交通法)。
加害者から名刺を渡され「治療費を払うから警察に届けないでおさめてくれませんか」と言われても,絶対に警察への届出をしなければなりません。
救急車に運ばれるような事案ならともかく,軽微な事案であればあるほど要注意です。
人身事故として届出をしておきましょう。人身事故として届出をすると,①事故証明書,②実況見分調書が作成されますので,そもそも事故が起きたか,事故態様がどのようなものだったのか,という証拠ができあがることになります。
なかには,事故で全く怪我してないと思ったので,物損事故として届出をしてしまったという方がいます。むちうちではよくあるのですが,帰宅後に痛くなった,1日後に違和感が出たという方がいます。物損事故のままであると,あくまで物損ですので,治療費等の損害が請求できるのかという問題が出てきてしまいます。そのため,物損事故で届出をした後,痛みが出たという被害者には,病院の診断書を警察に持っていき,人身事故に切り替えてもらうようアドバイスすることが多いです。
もっとも,保険会社に,「人身事故証明入手不能理由書」を提出することで,民事上の処理では人身事故として取り扱ってもらうことはできますが,弁護士としてはこのような事案はなんだか気持ち悪いというのが本音です。
交通事故の問題は,初期対応を含め,早期に弁護士に相談することが大切になります。
【交通事故】人身傷害保険
交通事故の被害者が使う人身傷害保険という保険について簡単に説明します。
交通事故の被害者は,原則として対人賠償や対物賠償という加害者の保険を使用しますが,表題の人身傷害保険は被害者自身が加入している保険です。約款によっても異なりますが,車を持っている交通事故の被害者は人身傷害保険という保険を利用することができます(人身傷害保険は被害者の過失割合が高い事案等で威力を発揮します)。
法律では,被害者の過失があると,過失相殺されます。被害者に100万円の総損害が発生していても,被害者に4割過失があれば,60万円の損害になってしまうのです。
では,人身傷害保険はどのような威力を発揮するのでしょうか?
簡単にいえば,人身傷害保険を利用することで残りの40万円を回収することができるというものになります。つまり,被害者自身に過失があっても最終的に100万円全額回収できる,ということになります。もっとも,人身傷害保険の利用は,【賠償先行型】と【人傷先行型】というものがあり,利用の仕方によって,40万円を全額回収できるかどうか差が生じてくる場合があります。これは,人身傷害保険は約款の基準によって支払われるものなので,裁判上の基準とは異なるからです。【賠償先行型】と【人傷先行型】のどちらをとるかは細かい交通事故の知識が必要になりますので,弁護士にお早めにご相談ください。
« Older Entries Newer Entries »