賞与の支給日在籍要件が就業規則で定められている場合,支給日に在籍していなかったAさんは賞与をもらえないでしょうか(支給日6月30日,退職日5月1日)。支給日在籍要件の有効性が問題になります。
● 支給日在籍要件
支給日在籍要件とは,文字どおり,賞与は支給日に在籍している要件を満たして支給します,というものです。
賞与を賃金の後払い的性格であることを強調すれば,労働の対価として認められそうです。他方,賞与は査定によってその都度会社が決定することで発生することを強調すれば,会社の裁量によるので認められにくそうです。
● 就業規則と退職理由
判例は,就業規則に合理性が認められる場合には支給日在籍要件を有効としています。ただし,任意退職と会社都合退職とで区別します。任意退職では労働者が退職日を自由に選択できるので支給日在籍要件が有効になりますが,他方,会社都合退職では労働者が退職日を自由に選択できないので日割計算にて支払うべきものとされます。
● まとめ
賞与の支給日在籍要件を判断するには・・・・
1,就業規則をチェック
就業規則(賃金規程)が定められていますか。
就業規則は合理性と周知性を満たしていますか(労働契約法7条本文)。
2,退職理由をチェック
会社都合の整理解雇,退職勧奨による合意退職,普通解雇,懲戒解雇,自主退職など退職
の理由はなんでしょうか。
3,労使慣行のチェック
過去の労働者はどう対応していましたか。会社の体制としてどのような扱いになっていますか(自動的に1か月分出すなど)。
等々。
以 上
当事務所は,使用者側の人事労務相談,労働者側の労働相談を積極的に受け付けております。
関総合法律事務所 弁護士 関真悟

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