今回は,物損事故事案での損害をまとめました。
なお,弁護士費用特約に加入している場合,弁護士費用はかからないので,弁護士に相談・依頼すべきだと思います。弁護士費用特約に加入していない場合,事案によっては弁護士費用が上回ってしまう場合もありますので,よく相談してから依頼したほうがよいと思います。
■ 車両損害
(1)修理費
修理が可能な場合,原則,必要かつ相当な修理費を請求することができます。
加害者側の保険会社のアジャスターが修理工場との間で協議され,額が決まっていきます。
(2)買替差額
以下の場合,事故当時の車両価格と売却代金との差額を請求できます。
・物理的に修理不可能な場合
・本質的構造部分に重大な損傷が生じ社会通念上買替えが必要な場合
・修理費が事故当時の車両価格及び買替諸経費の合計金額を上回る場合(経済的全損)
※ 事故当時の車両価格の認定
同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の車両を中古車市場において取得するのに要する価格。レッドブック,中古車専門雑誌やオークション
等が参考になります。
(3)買替諸費用
車両の買替えには原則として以下のようなものがあります。
<認められる>
・自動車取得税,消費税,自動車重量税,検査,登録法定費,車庫証明法定費
<認められない>
・自動車税,自賠責保険料
<争いあり>
・検査・登録手続代行費用,車庫証明手続代行費用,納車手数料
■ 代車料
修理や買替えに必要な期間は,車両を使用できないため,代車が必要になるので,代車料を請求できます。
この期間については,一概には言えませんが,修理の場合は2~3週間,買替えの場合は1か月程度です。
■ 休車損
「営業用車両」の修理や買替え中に,事業の用に供することができないため得べかりし利益を喪失することがあります。このような場合に,休車損というものを請求できる可能性があります。(事故車両1日当たりの営業収入-変動経費)×休車日数という計算式で算定されます。
■ 評価損
修理をしても,機能や外観に欠陥があったり又は事故歴があることにより隠れた欠陥があるかもしれないという理由で,中古市場における価格が低下することがあります。このように事故当
時の車両価格と修理後の車両価格との差額を評価損といい,請求できる可能性があります。
物損に関連する慰謝料については別の機会に書いていきたいと思います。
以上