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愛人関係と返金の法律問題
愛人関係・愛人契約,男女間の貸金・詐欺をはじめとする金銭トラブルの法律相談を受けることが多いです。
では,愛人関係等を巡る金銭トラブル,民事上の返金は可能なのでしょうか?
なお,詐欺罪(刑法246条)の証拠がある場合は,※捜査の対象にもなりますが,ここでは,民事上の返金について絞って簡潔に書いていきます。
※ 捜査の対象=逮捕されることもあり得ます
近時「元の交際相手に借金がある」「好きな人と一緒にいたい」などと結婚をほのめかして現金何百万円を騙し取った女性が逮捕されたニュースもありました。
愛人関係の維持が動機・目的であったかどうか
愛人関係の維持を動機・目的として給付したものかどうかを判断する必要があります。
以下,場合分けして考えていきます。
①愛人関係の維持を動機・目的とした給付ではない場合
✕贈与
返還請求不可能
〇貸金
返還請求可能
〇詐欺の立証が可能な不法行為
損害賠償請求可能
あとは,証拠の問題が生じます。
それぞれどのような証拠が必要か,法律の要件を立証できるかの検討が必要になります。専門的な判断が必要になります。
たとえば,借用書があるのか,振込履歴があるかどうかなどです。
もちろんメール等のやりとりで立証ができる場合もあり得ます。
証拠が裁判でも通用するものかどうかの判断も必要です。
わからない方はご相談ください。
②愛人関係の維持を動機・目的とした給付である場合
✕贈与
返還請求不可能
△貸金
公序良俗に反する原因や目的に使用する不法原因給付となり,貸金返還請求(厳密は無効になった場合の不当利得返還請求)することはできないとされています(民法第708条)。
もっとも,給付を受けた者が,返還を求める者に上回る不法性があるといえる場合は,全額を不法原因給付とて拒むことができません(平成24年4月24日/大阪地方裁判所抜粋)。
同裁判例の要旨は「貸主男性から借主女性に対する貸金返還請求につき、該貸付けは愛人関係維持を動機とする公序良俗に反するものではあるが、借主女性にも前記動機を利用し詐術を用いて貸付けを実行させた点で貸主男性を上回る不法性があるから、借主女性が不法原因給付として返還を拒めるのは2分の1の範囲に限られる。」として,拒める限度を半分としました。
〇詐欺の立証が可能な不法行為
損害賠償請求可能
あとは,証拠の問題が生じます。
それぞれどのような証拠が必要か,法律の要件を立証できるかの検討が必要になります。専門的な判断が必要になります。
実際のところは,交際中は手渡しであったり,契約書を作っていなかったり,後々のことを考えずにやりとりをしてしまう事例が多いと感じます。
もう少し踏み込んで愛人関係を考察
下記にてパパ活の問題(愛人関係問題)と裁判例の考察をまとめました。
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弁護士 関真悟