東北道で多重事故のニュースがありました。
ニュースをきっかけに四輪車同士の「高速道路上の追突事故の過失割合」を検討していきます。
追突車を「A」,被追突車を「B」として,
玉突きの場合,その他車両を「C」と表記致します。
目次
1、渋滞停止中の追突事故
渋滞等でBが停止しているとします。AがBに追突する事故は,下記の「一般道路における追突事故」の過失割合どおりと考えます。
停止中のBには落ち度がないので「A100:B0」になります。
「一般道路における追突事故」の過失割合の記事→こちら
※ 玉突きの場合
A→C→Bの場合,「A100:C0:B0」になります。
2、被追突車Bに法24条違反(理由のない急ブレーキ)がある場合の追突事故
(1)基本過失割合
道路交通法の条文を抜粋します。
「(急ブレーキの禁止)
第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。」
道路交通法24条は急ブレーキを禁止しています(ただし,「危険を防止するためやむを得ない場合」は急ブレーキ可能)。
高速道路は一般道路よりも車両のスピードがでているため(一般的には制限速度80キロ),急ブレーキによって,大事故(怪我も台数も全てにおいて)になる危険が高いため,急ブレーキをかけた被追突者Bに対する責任を重くしております。
そこで,基本過失割合は「A50:B50」になります。
※ 玉突きの場合
台数がたくさんあっても、合計して過失は100を超えないという原則を抑えます。
「AB」の関係にあるところを探します。
A→C→B 「A50:C0:B50」です。
C→A→B 「C0:A50:B50」です。
(2)修正要素
上記は基本過失割合なので,修正もあり得ます。
代表的な修正要素として,
例えば,Aに速度違反があるとき,Aが10~20重くなるので,「A60~70:B40~30」に修正されることがあり得ます。
他方,Bの制動灯が故障している場合などは,Bに落ち度があるので,「A30:B70」に修正されることがあり得ます。
具体的事情によって修正される場合があるのです。
今回のニュースではホワイトアウトが原因か?という記述があったので、まずは現場の状況やドライブレコーダー等からホワイアウトであったのかを調べていく必要があると考えます。
ホワイトアウトと認定されれば,「視認不良」という修正が可能になると思います。
ただ,Aが視認不良だったのか,Bが視認不良のためブレーキをかけたのかなどニュースから読み取れません。
ア Aが視認不良によって追突してしまった場合
実務で使われている判例タイムズの本には記載がありません。
ただ,後述する駐停車している場合の過失の検討では「視認不良」につき、A-10という記載があるので、これを活用すれば「A40:B60」に修正されるのではないかと考えられます。
イ Bが視認不良によってブレーキをかけてしまった場合
視認不良が原因で急ブレーキをかけてしまった場合でもまずは上述した道交法24条違反かどうかは検討されると考えます。
24条違反であれば基本過失割合どおりとなります。
24条違反でなければ(「危険を防止するためやむを得ない場合」だったときなど)は,Bに有利に修正が働き,例えばA60;B40等に修正はされ得ることがあると考えます。
3、被追突車が何らかの落ち度(事前の整備不良によるガス欠、エンジントラブルなど)で本線車道に駐停車していた場合
(1)基本過失割合
基本過失割合はA60:B40になります。
(2)修正要素
もっとも、事故状況によって修正があり得るのは前述のとおりです。
例えば,Aに「速度違反」があれば、A70~80:B30~20等に修正されることもあり得ます。またBが路肩に避難できない状況で、かつ、停止表示機材設置等をしていれば、逆にA80:B20に修正されることもあり得ます。
今回のニュースではホワイトアウトが原因か?という記述があったので、まずはホワイアウトであることに認定ができるかが問題になります。
ホワイトアウトと認定されれば、「視認不良」という修正が可能になると思います。
視認不良の修正はA-10となるので、A50:B50になると考えられます。
どのような修正があるかは事故状況によって異なるので、専門家に相談するのがよいでしょう。
4、被追突車が何らの落ち度がなく本線車道に駐停車していた場合
4-1 被追突車に退避懈怠又は停止表示器設置懈怠の過失がある場合
基本過失割合はA80:B20となり,修正があり得ることは上述のとおりです。
4-2 被追突車の駐停車後に対応に過失がない場合
基本過失割合はA100:B0となり,Bに過失がないため修正要素もありません。
3,高速道路上の追突事故などの相談を受け付けております
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