交通事故の被害者が使う人身傷害保険という保険について簡単に説明します。
交通事故の被害者は,原則として対人賠償や対物賠償という加害者の保険を使用しますが,表題の人身傷害保険は被害者自身が加入している保険です。約款によっても異なりますが,車を持っている交通事故の被害者は人身傷害保険という保険を利用することができます(人身傷害保険は被害者の過失割合が高い事案等で威力を発揮します)。
法律では,被害者の過失があると,過失相殺されます。被害者に100万円の総損害が発生していても,被害者に4割過失があれば,60万円の損害になってしまうのです。
では,人身傷害保険はどのような威力を発揮するのでしょうか?
簡単にいえば,人身傷害保険を利用することで残りの40万円を回収することができるというものになります。つまり,被害者自身に過失があっても最終的に100万円全額回収できる,ということになります。もっとも,人身傷害保険の利用は,【賠償先行型】と【人傷先行型】というものがあり,利用の仕方によって,40万円を全額回収できるかどうか差が生じてくる場合があります。これは,人身傷害保険は約款の基準によって支払われるものなので,裁判上の基準とは異なるからです。【賠償先行型】と【人傷先行型】のどちらをとるかは細かい交通事故の知識が必要になりますので,弁護士にお早めにご相談ください。