家賃が払えない飲食店などの事業者を当事務所がサポートします。
支払猶予交渉,賃料減額交渉,契約解除交渉,任意整理などがあり得ます。
なお,弊所は飲食店をはじめとする顧問契約も行っており,コロナ後の飲食店のコンサルティング的なものも含めアドバイスできる場合があります(新規顧客開拓,既存顧客開拓,従業員教育,労務問題)。
目次
結論
支払猶予,賃料減額,解除,任意整理(分割払い)は,事実上乃至法律上の根拠はあるかもしれないが,所有者(貸主)との交渉のなかで決まる為,結果は保証できませんが,やってみる価値はあるかもしれません。
支払猶予交渉
国土交通省の要請を利用して「新型コロナウイルス感染症の影響により,賃料の支払いが困難な事情がある」ことを立証して交渉をする方法があげられます。
国土交通省HP抜粋「国土交通省では、不動産関連団体を通じて、賃貸用ビルの所有者など飲食店をはじめとするテナントに不動産を賃貸する事業を営む事業者に対して、新型コロナウイルス感染症の影響により、賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては、その置かれた状況に配慮し、賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討頂くよう本日付けで要請をしました。」
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000201.html
ただし,上記要請は緊急事態宣言と同様「事実上」の要請であり,強制するものではないところが,難しいところです。
賃料減額交渉
事業用建物賃貸借契約書を交わしていると思います。
契約書の支払いを怠った場合の条文(債務不履行解除)をよく読んだうえ,「賃料減額」の条文がある場合もあります。
同条文と借地借家法32条1項を使って,賃料の減額の交渉をすることが考えられます。
借地借家法32条1項抜粋「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」
また,事業用賃貸借契約書の条文に賃料の増減額を認めない旨の条文があっても大丈夫です。最高裁平成15年判決は「借地借家法32条1項の規定は,強行法規と解されるから、賃料自動増額特約によってその適用を排除することができないものである。」としているからです。
ただ,将来的に永久的に効力を発生させる規定であるうえ,緊急事態宣言中限定の条文をいれるなどして,柔軟な交渉をしていく必要があるかと思います。
なお,各要件の解釈は下記のとおりです。「その他の経済事情の変動」は,建物の価格・建物の敷地の価格の上昇・低下以外の経済事情の変動を指し,具体的には,物価指数,通貨供給量,労働賃金指数などの指標の変動を意味します。「不相当となったとき」とは,現行の賃料に当事者を拘束することが公平に反することをいいます。
なお,4月1日以降に契約や更新をした場合は改正民法611条1項の減額請求も視野に入れることができると考えます。
民法611条1項抜粋「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。」
賃料は賃借物が使用収益可能な状態に置かれたことの対価として発生するものであるから,一部滅失等で使えないときは賃料は使用不能部分に対応する割合で発生しないとする規定です。
この条文は例えばショッピングモールなどが全面休業や時間限定休業になった場合には使える可能性もあると思います。他方,「滅失その他の事由」に自粛が含まれるかという問題もあります。
契約解除
このまま店舗を展開しても,お客が来ないし固定費がかかるので,店舗を閉めてしまおうと考えることもあり得ます。
この場合は事業用賃貸借契約の,契約解除の条文を見てみましょう。
同契約書上,解除が法的に可能な場合があり得ます。
同契約書上,賃借人の解除が賃貸人の債務不履行等に限定されている場合等で解除できない場合も,交渉によって合意解除ができる可能性もあります。
なお,4月1日以降に契約や更新をした場合は改正民法611条2項の解除も視野に入れることができると考えます。
民法611条2項抜粋「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
家賃の分割払い交渉
借金の解決方法として任意整理があります。
任意整理は通常は貸金業者を対象にしますが,家賃も任意整理の対象にして,家主と分割払いの交渉をしていく方法があり得ます。
まとめ
事実上・法律上の根拠があるにせよ,すべてはオーナーや貸主との間の話し合いで決まるものなのでやってみないとわからないものです。
話しにくい,切り出し方がわからない,弁護士を出したほうがいい,弁護士は出さないほうがいいなど色々あると思いますが,まずは気軽にご相談ください。
今後の飲食店の経営などに非常に興味あり,最善のサポートをします。
これまでクーポン券の提案など既存顧客や新規顧客の対応などでコンサル的なアドバイスの実績もありますので顧問契約などもご利用ください。