交通事故の被害に遭い,残存した症状に後遺障害(1級~14級)が認定されると,
①後遺障害慰謝料のほか,
②後遺障害による逸失利益
という損害が発生します。
(後遺障害非該当の事案だといずれも発生しません。)。
今回は逸失利益について簡潔に書きたいと思います。
■ 逸失利益とは何か?
逸失利益とは何か。
逸失利益とは,後遺障害が残ったことで,労働能力が減少するために,将来発生すると認められる収入の減少のことをいいます。
■ 算定方法は?
有職者または就労者の場合の算定方法は,
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
という計算式になります。
基礎収入は,原則,事故前の現実収入を基礎にします。基礎収入につては,①有職者(給与所得者か事業所得者か),②家事従事者,③無職者,④失業者で考え方や必要な証拠が異なります。
労働能力喪失率については,1級~3級100%,4級92%,5級79%,6級67%,7級56%,8級45%,9級35%,10級27%,11級20%,12級14%,13級9%,14級5%という労働能力喪失率表を参考にしますが,職業,部位や程度,事故前後の稼働状況などを個別具体的にみていきます。
労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数については,始期を症状固定日,終期を原則67歳として(67歳を超える方は簡易生命表などを使いますが今回は省略します),労働能力が何年間失われるかということを係数で示した係数表を参考にします。
■ むち打ち症の事案の場合
(例)事故前の年収が600万円の給与所得者で,むち打ち症で14級の後遺障害が認定された事案の逸失利益
600万円×0.05×4.3295=129万8850円
(例)事故前の年収が600万円の給与所得者で,むち打ち症で12級の後遺障害が認定された事案の逸失利益
600万円×0.14×7.7217=648万6228円
■ 最後に
後遺障害の逸失利益の損害項目は,保険会社の提案だとたいていは低額になっており,増額できる可能性のある損害項目になります。
以 上
関総合法律事務所 弁護士 関 真 悟

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