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財産分与
財産分与は離婚相談のなかで特に重要なテーマです。
お金に関わることなので,正しい知識・方法で決めていく必要があります。
以下では財産分与について相談した方が良い事例やポイント等を簡単に紹介していきます。
早めに弁護士に相談したほうがよい例
財産分与が問題なる事案で,早めに弁護士に相談したほうがよいパターンをご紹介致します。
以下の3パターンの例が多いです。
1,「財産分与がネックとなって離婚ができない」
額や分け方を巡って,一方が離婚に同意しないと主張します。
実質的には婚姻関係は破綻しているのに,離婚ができなくなっている相談者は多いです。
弁護士が実務の処理を教えていきますので,早めに相談しましょう。
2,「離婚はしているが財産分与をまだしていない」
先に離婚届を出してしまっているが,離婚時に財産分与のことを話し合えなかった。
とにかく離婚を先行させたかった・せざるを得なかったという相談者もいます。
財産分与には時効がありますので,弁護士に早めに相談しましょう。
3,「対象財産を把握していない・分け方がわからない」
財産分与という言葉は知っていても,「財産分与の対象になる財産は何か?どうやって分けるのか?相手が隠し財産を持っているのではないか?」など疑問をもっている相談者もいます。
同居中か別居中かで対応が異なります。弁護士会照会(23条照会)での調査は可能ですが,資産がどこにあるかわかればければ,調査は無意味になってしまいます。
他方,調停段階の調査嘱託はなかなか採用をしてもらえません。
対象財産の確定・評価は,当事者の責任ですので,弁護士に早めに相談しましょう。
※ ワンポイントアドバイス
「財産分与の額や方法は実務ではどのようになっているのでしょうか?」
1)当事者間の協議で決めるのが原則です。
2)協議が整わなかった場合,財産分与の調停,審判を行います。
3)離婚調停のなかで財産分与の合意を行うこともできます(ただし,合意が整わない場合に審判に移行することはありません【付随的申立て】)。
重要なのは対象財産の抽出と財産目録の作成になってきます。
財産分与の疑問点を解決
①財産分与にはどのような要素があるのか?
②財産分与の対象財産はどのような財産なのか?
③財産分与の算定時期はいつになるのか?
このあたりを簡潔に説明してきます。
1,財産分与の要素(①)
財産分与について簡単に触れると,財産分与は,1)婚姻中に形成した財産の清算,2)離婚後の扶養,3)慰謝料の3つの要素があると考えられております。
実務上,財産分与は,1)清算ですが,簡単に3つとも説明致します。
1)婚姻中に形成した財産の清算
婚姻中に形成した財産の清算は,すべての方が対象になります。
実務では双方の寄与を平等とみる2分の1ルールが採用されています。
もっとも,夫婦の一方に特別な能力や努力,専門的知識がある場合,修正ルールが働くこともあります。
医師やスポーツ選手などの離婚にあてはまる場合はありますのでご相談ください。
※ 貯金や不動産等を抽出,評価し,婚姻財産目録を作成していきます。
2)離婚後の扶養
前述①や後述の③を考慮してもなお離婚後の生活が困難な場合,生計を維持できる程度の額を自活するために必要な期間を基準として,具体的事情により決していくものです。
請求者が病気や専業主婦である場合,考慮することができるときがありますのでご相談ください。
3)慰謝料的要素
不貞行為や暴力等の精神的苦痛がある場合,別途慰謝料請求もできますが,財産分与のなかで算定することができます。
相手方に不法行為(不貞行為や暴力)がある場合に考慮することができるときがあります。
2,財産分与の対象財産(②)
「財産分与の対象となる財産は何でしょうか?」
婚姻前から持っていた自分名義の預金や不動産は特有財産といいます。
特有財産は財産分与の対象にならないのは理解されている方が多いと思います。
では,
・両親から婚姻前に出してもらった不動産購入資金はどのように処理されるのでしょうか?
・両親や会社の社長からもらったお祝い金はどのように処理されるのでしょうか?
・まだ退職をしていない会社の退職金は分与の対象になるのでしょうか?
・不動産ローンの残っている不動産は財産分与の対象になるのでしょうか?
・夫の単独名義なので,財産分与の対象にならないのでしょうか?
・子供名義の貯金や学資保険は財産分与の対象にならないのでしょうか?
・生命保険等の保険は?
このような多くの疑問があるかと思います。
対象財産の確定で問題で重要なのは,すべての財産を拾い上げることです。何が特有財産かを確定し,相手が隠している財産も見つけ出すのです。対立が激化していると,預金口座を開示してくれいないといったことがあるかもしれません。弁護士には開示もできる場合があります。
3,財産分与の基準時(③)
「いつまでの財産を対象とすればよいのでしょうか?」
・婚姻してから別居まででしょうか?
・婚姻してから離婚まででしょうか?