交通事故の物損で事故前の傷か事故の傷か争いになるケースを簡潔に書きます。
● 物損で揉める事故前から傷があったのか?パターン
車両同士の事故の場合,車両の損傷状況で保険会社と揉めることがよくあります。
交通事故は,原則,加害者の任意保険会社が対応します。
加害者の任意保険会社が被害車両の傷は,「事故前」からあったもので,修理代金は支払えない,と判断したとします。
被害者としては,そんなはずはない,事故によるものだ,というご主張になります。
被害者が事故前の写真を持っていれば一番よいのですが,なかなか事故直前の車の写真を持っていたということはないかと思います。
● 加害者の保険会社とどのように争うのか?
1)車両保険の利用は不利益が多い
被害者自身がご加入している保険の車両保険を使用することが考えられます。
しかし,車両保険の使用は,等級ダウン,年間保険料のアップという不利益があります。
とすれば,車両保険はできるだけ使用したくないと考えるのが通常でしょう。
2)不利益のない弁護士特約の利用で弁護士に依頼するは
被害者自身がご加入している保険に弁護士費用補償特約(弁護士費用や実費を負担しなくて済む特約)があるか確認してみてください。
弁護士費用補償特約の利用は,等級ダウン,年間保険料のアップという不利益は一切ありません。
そして,弁護士を使えば,損害の状況を調査してもらえる調査会社を利用することができ,こちら側の証拠というものを揃えることができ,加害者の保険会社と交渉をしていくことができます。
また,実況見分調書なども取得することで,事故の原因,写真等がわかり,傷が事故によって生じたものであるかより明確になると思います。
なお,被害者自身ができることとして,
「事故直後の加害者の車両の写真と事故直後の被害者の車両の写真を撮っておく」ことです,これはのちのちこちら側の証拠を集める際に非常に重要になってきます。
ただ,事故直後に写真なんて撮る余裕は実際ないですよね。