AIによる書面の危険性と弁護士チェックが必須であること

近年,AI(人工知能)技術の急速な発展により,インターネット上でも「AIを使って契約書や協議書を自分で作成しよう」といった情報を目にすることが増えています。

しかし,法的な効力を持つ書面の作成において,AIをそのまま鵜呑みにするのは非常に危険です。実際に当事務所に持ち込まれた書面で実務において通用するものは皆無でした。今回は,なぜ「AIで作った書面こそ,専門家である弁護士のチェックが必要不可欠なのか」について解説します。

 

1,素人がAIに頼る危険性と「無料版」のリスク

法的知識を持つ弁護士が,構成案の作成やリサーチの「参考程度」にAIを活用するのは有効な使い方です。専門家であれば,AIが出力した内容の真偽を自分で判断できるからです。

しかし,法的な専門知識を持たない一般の方が,AIの出力結果をそのまま信じて書面を作成するのは極めて危険です。

特に,誰もが手軽に使えるオープンAIつまり「無料版のAI」は,学習データが古かったり,複雑な法的文脈を理解できていなかったりすることが多く,致命的なリスクをはらんでいます。また平気で嘘もつきます。
一般の方はもっともらしい表現があると正解だと信じがちですが,それこそが危険であり,実際は違っているということが多いのです。

 

2,最上位の有料AIでも「正確性」は担保されていない

実は,私自身も業務の効率化やアイデアの参考としてAIを利用することがあります。その際,精度の低い無料版ではなく,最も性能が高く高額なプランに課金して複数利用しています。

しかし,最高峰のAIであっても「正確性」は全く担保されていません

もっともらしい文章を出力しても,引用している「判例」が完全にデタラメ(実在しない架空の判例)であることは日常茶飯事です。そのため,AIが提示した情報は決してそのまま使わず,必ず弁護士向けの有料の判例検索システムを使い,判例の原本や法的な根拠をご自身の目で徹底的に確認しています。一般の方が有料の判例検索システムなどを登録していることはないでしょう。

 

3,「法律要件」と「解釈」を理解せずに作成するリスク

契約書や協議書などの法的な書面は,ただそれらしい言葉が並んでいれば良いというものではありません。

・どのような「法律要件」を満たさなければ無効になるのか,効力が発生しないか

・将来トラブルになりやすい「論点」はどこで,どういう判例通説,学説があるのか

・文言の法的な「解釈」はどうなるのか,条文の趣旨に沿って文言解釈ができるのか

これらを正しく理解しないまま書面を作成すると,いざという時に法的な効力を発揮せず,取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。

 

4,実際に持ち込まれる「AI作成の書面」の実態

最近,当事務所の法律相談でも「AIを使って自分で作った離婚協議書(または合意書)」を持参される方が増えてきました。

しかし,実際にその内容を拝見すると,以下の理由からそのままでは使えないケースがほとんどです。

① 実務で通用しない

教科書的な一般論しか書かれておらず,当事者間の具体的な状況(財産分与の特殊な条件や,面会交流の細かい取り決めなど)に適合していないため,実際の運用に耐えられません。また公正証書化になじまない文言であったり,公序良俗に反する文言などもみたことがあります。

② 解釈に誤りがある

日本の法律や最新の実務運用とは異なる解釈で作成されており,そのまま署名捺印してしまうと,後日相手方から「この条項は無効だ」と争われる隙を与えてしまいます。

このような場合,結局は弁護士が内容を精査し,大幅な修正や書き直しを行うことが必須となります。

 

ご提出書面・協議書・合意書のチェックはお任せください

AIは大変便利なツールですが,法的な判断や責任を肩代わりしてくれるわけではありません。「AIで作ったから大丈夫」ではなく,「AIで作ったからこそ,プロの目で確認してもらう」ことが,将来のトラブルを防ぐ最大の自衛策です。

 

当事務所では,ご自身(またはAI)で作成された提出書面,協議書,合意書などの修正・チェックを承っております。

 

【書面チェック・修正費用】

 

A4サイズ1枚につき:1万6500円

 

「この文言で法的に問題ないか」「自分に不利な条件になっていないか」と不安に思われた方は,相手方に提出・署名する前に,ぜひ一度当事務所へご相談ください。

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