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■ 後遺症・後遺障害
交通事故で一定期間治療・リハビリをしても,残ってしまった症状を「後遺症」といいます。
交通事故の実務では,「後遺症」が自動車損害賠償保障法施行令 別表で定める「後遺障害」と認定されなければなりません。
「後遺症」が「後遺障害」と認定されて,はじめて,後遺障害慰謝料(と逸失利益)という損害賠償を請求することができるようになります。
後遺障害等級は部位や症状によって1級から14級までに分類されます。
(典型的なむちうちの例)
むちうち → むちうちのページ
※ むちうちとは,傷病名が頸椎捻挫・挫傷,腰椎捻挫・挫傷,椎間板ヘルニア,外傷性頸部症候群等になっています。
(特殊な後遺障害の例)
脊髄損傷 → 脊髄損傷のページ
高次脳機能障害 → 高次脳機能障害のページ
上肢・下肢 → 上肢・下肢のページ
外貌醜状 → 外貌醜状のページ
口 → 口のページ
◆ 関総合法律事務所の交通事故解決事例集 ◆
むちうちをメインに高次脳機能障害なども含んだ解決事例をみていただければ幸いです → 交通事故解決事例集
■ 症状固定の時期に注意
「後遺症」が「後遺障害」と認定されるために,注意しなければならないのは「症状固定」の時期です。
「症状固定」とは,一定期間治療・リハビリをしたが,これ以上の改善が望めない状態に達したことをいいます。
「症状固定」の時期は,非常に重要です。
交渉のプロである保険会社の主導で,被害状況がはっきりしない早い時期で症状固定にされてしまうと,後遺症が後遺障害と認定されるべき事案であるにもかかわらず,「等級なし」と判断されるようなこともあります。
もっとも,弁護士に相談・依頼することで,1)適切な症状固定の時期がわかる,2)治療終了時期の交渉ができる,3)後遺障害の手続きができる,4)最終的に適正な賠償額を獲得できるなどのメリットがあります。
■ 後遺障害等級認定のための手続き=事前認定と被害者請求
「症状固定」後,自賠責調査事務所に対して「後遺障害等級」の認定申請をし,「後遺症」が「後遺障害」と認定されるかどうかが決まります。
後遺障害等級認定のためには,2つの手続き,すなわち「事前認定」と「被害者請求」があります。
●「事前認定」は,保険会社に手続きを丸投げするものです。
・ 保険会社 → 自賠責調査事務所 → 保険会社
簡易な収集 75万円は保険会社が確保
●「被害者請求」は,被害者自身(弁護士)で行う手続きです。
・ 弁護士主導 → 自賠責調査事務所 → 被害者
緻密な収集 75万円を先行して直接回収
※ 75万円は14級を前提にしています。
「事前認定」は手間が省けて楽だと思われるかもしれませんが,以下の懸念点があります。
すなわち,保険会社は必要最小限の書類しか集めない/一括払いにおける損害賠償金の支払いは示談成立が条件となっていることなどです。
そこで,「被害者請求」をすることが考えられます。
「被害者請求」は書類を自ら集めなければなりませんが,「事前認定」の上述した懸念点はなくなります。
「被害者請求」を弁護士に相談・依頼することによって,1)ポイントを押さえた上で書類を集め手続ができ,2)後遺障害が認定されれば,示談成立前に,自賠責から先に損害賠償金の支払いを受けることが可能になり,3)最終的に適正な賠償額を獲得できるなどのメリットがあります。
なお,被害者請求は,自賠責保険会社に申立てをして,損害保険料率算出機構という別機関により調査,審査がなされます。