交通事故でむちうち症になった方,神経学的検査はしっかり受けていますか?
神経学的検査は,画像所見と同様に,自賠責損害賠償責任保険後遺障害診断書に記載されます。
外傷性の画像所見がない場合でも,自覚症状を説明する神経学的所見があると,14級が認められる可能性があります(その他に,事故状況,症状の一貫性,通院状況が考慮されることは言うまでもありません)。
今回は,むちうち症の代表的な神経学的検査を頸部に限定して簡潔に記載します。
● スパーリングテスト
神経痕を誘発するテストです。
頭部を痛みのある側に傾け,医師が頭部を圧迫し,頸部から上肢に痛みやしびれがあるかどうかをみます。検査結果は,+(陽性),-(陰性)等と表示されます。
● ジャクソンテスト
神経痕を誘発するテストです。
頭部を可能な限り後屈させ,医師が患者の頭部を上から下に押し下げ圧迫を加え,頸部から上肢にかけて痛みやしびれがでるかをみます。検査結果は,+(陽性),-(陰性)等と表示されます。
● 深部腱反射テスト
腱をゴムのハンマーで叩き、筋に刺激を与えたときに起こる反射(筋収縮)の有無を確認する検査です。
中枢性麻痺(脊髄に異常)が認められるときは、反射は亢進を示します。末梢性麻痺(神経根に異常)が認められるときは、反射は低下、消失します。検査の結果は、亢進(+++)軽度亢進(++)正常(+)低下(±)消失(-)等と表示されます。
● 筋萎縮テスト
筋萎縮の程度を測る検査です。
継続的な神経の麻痺があると筋は委縮するという前提のもと,両上肢の肘から10cmのところの上腕部と前腕部の腕周りを計測し,周径の左右差があるかを検査します。
他にも,握力検査,知覚検査,徒手筋力検査など各検査がありますが,説明を省略します。
自らが治療・リハビリ中に何の検査を受けているのかをしっかり把握して,場合によっては医者に検査を実施するように伝えてください。
関総合法律事務所 弁護士 関 真悟