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消滅時効に要注意
債権には,消滅時効というものがあります。
せっかく債権を持っていても,時効になってしまうと,時効の援用(債務者が「時効だ」ということ)をされることで,債権は消えてしまいますので,時効には要注意です。
時効の対処法はあります。次の,●時効の中断事由でリセットを狙う ●期間経過後も判例の知識で交渉 をお読みください。
時効の中断事由でリセットを狙う
時効の中断事由があれば、時効はリセットされ、0からスタートになります。時効の中断事由は次の3つになります。
・請求
裁判上の請求のことをいいます(訴訟、支払い督促、少額訴訟)。
・差押え、仮差押えまたは仮処分
いずれも裁判所に対して申立てるものです。
・承認
債務者が債務の存在を認めることをいいます(催告と異なり回数制限なし)。
※ 要注意
内容用証明郵便などの催告は、時効を6か月だけ延長できる効果があるにすぎません(1回しか延長することができません。)。
6か月以内に上記3つのいずれかを行う必要があり,慎重な対応が要求されるますので,弁護士に早めに相談してください。
消滅時効の期間経過後も判例の知識で交渉
消滅時効の期間が経ってしまっても、債務者が「時効だ」と言わない限り、時効は成立しません。
また、もし、消滅時効期間経過後に、一部弁済や債務者と分割払いの合意があれば、債務者は時効を主張することができなくなります。
これらの検討と交渉は慎重に行わなければならず,弁護士に早めに相談して下さい。
債権の種類と短期消滅時効に要注意
民法改正後は原則「5年」になりますが,以下のルールはまだ生きているため,業種・債権の種類ごとの短期消滅時効には要注意です。
業種 | 債権の種類 | 時効期間 |
不動産関連業 | 家賃・地代,管理費,修繕費 | 3年 |
建築建設関連業 | 工事代金,下請代金,リフォーム代金 | 3年 |
病院,医療機関 | 未払診療報酬債権,治療費 | 3年 |
中小企業 | 売掛金,売買代金,部品代金 | 2年 |
施設関連業 | 宿泊費,飲食費,運送費 | 1年 |
長年の取引関係にある相手方に対し,お金を早く支払えと言えないものです。
また,不払いの原因が相手方の資金不足ではない場合,話し合いをしても,埒が明かないでしょう。
さらに,大企業でもない限り,債権回収専門部署はないはずです。
そこで,法律の専門家である弁護士がいるのです。
弁護士に依頼することで,お客様の代理人として活動することができ,費用対効果のある債権回収を図ることができます。
民法改正後であっても時効対策は必須
民法改正後は,時効期間について統一ルールを設けることが考えられています。
具体的には,「債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。」との規定に改正され,種類別の時効期間は廃止される予定です。
すなわち時効期間が原則「5年」になるだけであって,いずれにしても,債権回収の時効対策は必須になります。