貸したお金

貸したお金を返してほしい。

弁護士が頻繁に扱っている相談です。

貸したお金を返してほしいが,

✔「相手の住所がわからない

✔「借用書がない

✔「どうやって返してもらえるかわからない(債権回収)

いろいろな相談があります。

元交際相手(男女)友人,さらに親族間など相談は多岐にわたります。

事業主間もあります。

今回は,経験談も交えて,貸したお金を返してもらう方法を簡潔に書いていきます。

 

貸したお金を返してほしい

貸したお金を「返して」※1というには,まずは貸し借りの契約を主張しなければなりません。契約は,①当事者の合意(返還の合意)」のみならず,「②貸主から借主に対し金銭等が実際に交付(金銭の授受)」により成立します。つまり,お金を交付していることが契約の成立要件です※2。なお「①当事者の合意(返還の合意)」に書面であることは要求されていないので,口頭でも可能です。

まとめると,

①当事者の合意(返還の合意)

②貸主から借主に対し金銭等が実際に交付(金銭の授受)

という2つの要件があってはじめて,契約は成立するのです。

次に,契約の成立の主張を前提に,「返して」という権利を発生させるには,

返還時期の合意がある場合は,返還時期の合意返還時期の到来を主張する必要があります。

返還時期の合意がない場合は,返還催告催告後の相当期間の経過を主張する必要があります。

 

※1 貸したお金を返してもらう請求

貸したお金を返してもらう請求をすることを,貸金返還請求といいます。
より正確には,金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求権です。
なお,過去に貸したお金やお金以外の物を給付する義務を負っている場合,まとめて,お金を貸す契約にすることもできます(これを「準消費貸借契約に基づく貸金返還請求権」といいます)。

 

※2 改正民法587条の2

書面でする消費貸借等でお金の交付を要件としない規定が新設されました(諾成的消費貸借契約)。
これは,現代社会において家を購入する際には銀行などとローンを組むのが一般的であり,消費貸借がお金の交付を要件とすると,銀行から確実に融資を受けられる保証がないことが踏まえられています。他方書面という要件を課して,口頭での軽率な合意を防止しました。

 

貸したお金を返してもらう権利と事実の証明(立証)

上記のとおり,

①当事者の合意(返還の合意)

②貸主から借主に対し金銭等が実際に交付(金銭の授受)

③(返還時期の合意がある場合)→返還時期の合意+返還時期の到来

    (返還時期の合意がない場合)→返還催告と催告後の相当期間の経過

を主張して,貸したお金を「返して」もらう権利が生まれるのです。

次に,立証しなければなりません。

立証とは,証拠をあげて要件に該当する事実(①~③)を証明することをいいます。

ここで,皆さんのご存知のとおり証拠が必要になってくるのです。

返還の合意(①)の証拠として,皆さん御存知の借用書があります。
借用書は無敵とも思われますが,作成の経緯や記載内容で,無敵とはならないこともあります。

他方,「借用書がないとだめなのか?」という相談もありますが,なくても大丈夫な場合があります

前述のとおり,書面であることは要求されておらず,口頭でも返還の合意が可能です。

メールや録音やその他の書類(覚書やメモなど)や当事者の関係性などもみていき,証明できる可能性は十分あります(実際弁護士に相談される事案は借用書よりもこちらのほうが多いと思います)

現在,コミュニケーションのツールとしてはメールよりもLINEでやりとりすることが多いため,最近の訴訟でもLINEが証拠として提出されることが非常に多いです。LINEで返還の合意を立証できた事案も多々あります

立証できるのかは,各証拠を弁護士にみせて分析してもらう必要があるかと思います(弁護士に相談するメリットがあります)。

金銭の授受(②)の証拠として,上記①の証拠のほかに,金銭の動きの証拠が大事になっていきます。原資はどこにあったのか,相手は金銭をなぜ必要としていたのか,相手はその金銭を何に使用したのかをはじめ,いわゆる「金銭の流れ」を1つずつ追っていく必要があります

よく使う証拠としては,通帳の振込履歴などです。

 

貸したお金を返してもらいたいが相手の住所がわからない

相手の住所がわからない」というのもよくある相談です。

事案によりますが,私の経験からすると,相手の過去の住所,実家の住所,携帯電話の番号(解約済みでもOK),勤務先などがわかっていればそこから弁護士会照会や職務上請求により,相手方の現住所まで辿れることがあります。

ここで,1つだけ注意点があります。

「住所だけ調べてくれないか」という相談者がいますが,弁護士のルール上,住所調査だけの依頼を受けることができません

弁護士はあくまで,交渉や訴訟等を前提とした相手方の調査しかできません。

弁護士に住所を調べてほしいという希望の方は,事件として全体を依頼しなければなりません。また弁護士は開示した住民票などを依頼者に交付することもできません。

ご了承ください。

 

貸したお金を返してもらう方法について

貸したお金を貸してもらう方法の話に移ります。

手段は債権回収の方法と同じです。

債権回収の方法は弊所のページをみてください。

弁護士はまず相手に資力があるか,資産としてどのようなものがあって,何を把握しているのかを聞きます。事案によりますが,交渉に入る前に(内容証明郵便送付前に),仮差押えという手段をとることが最適な場合があるからです。

 

民事執行法の改正により回収が容易になる可能性(財産開示手続利用)

訴訟のなかで和解をする(和解調書)

訴訟で判決をとる(判決書)

公正証書をつくる(強制執行受諾文言付公正証書)

等,債務名義を獲得すると,確定証明をとり,相手の資産に差し押さえをする権利が発生します(給料,不動産,預金,車など)。

もっとも,相手の資産を把握していないと,差し押さえは困難になります。

となると,債務名義をとっても,意味のない(回収できない)事態が生じてしまいます。

従来から財産開示手続という強制執行の手段がありました。

財産開示手続は,強制執行をしても完全な債権の回収ができなかった場合等に,裁判所が債務者を呼び出して,非公開の期日において,債務者に自己の財産について陳述させる手続です。しかし,裁判所から呼び出しがあるにもかかわらず,債務者は無視をしたりするため,ほとんど利用されてはいませんでした。

今回の改正では,無視した場合には,刑事罰(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることとなり,罰則が強化されることになりました(改正法213条1項6号)

また,債務名義の種類にかかわらず,財産開示手続の申立をすることが可能とされていました(改正法197条1項柱書)。

さらに,情報開示の対象となる財産は,不動産,給与債権,預貯金・株式等で,裁判所が情報を各機関から取り寄せて開示してくれるようです。
 不動産に関する情報取得手続については登記所から,給与債権については市町村や日本年金機構等から,郵貯金や株式等は銀行や証券会社から,開示を受けることができます。

ただし,給与債権は,養育費や生命・身体等の損害賠償請求権に債権が限定されています。

 

弁護士への相談は早いほうがいい

男女間であれば「別れてから」,友人間では「音信不通になってから」,相談されるかたが多いです。

ただ,手遅れであり,証拠が残っていないことも多いです。

弁護士への相談は早いほうがよいと考えます。

なお,弊所はお金を貸す側,借りる側問わず,完璧な契約書を作成するサービスも行っております。

ネットに出回っている契約書関係は穴だらけです。

契約書作成の単発の相談も受け付けております。

 

文責:弁護士 関 真悟

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