不貞慰謝料と違約金の請求について

不貞慰謝料と違約金の請求について説明致します。

不貞相手と間で慰謝料を決めたとしても,不貞が再開されてしまっては意味がありません。

そこで,再度不貞行為等をした場合はペナルティを慰謝料と同時に決めておくことが必要になります。

このペナルティが「違約金」というものになります。

では「違約金」はそのまま請求できるのでしょうか?そのあたりを解説していきます。

合意書の締結と違約金

復縁を目指す場合,請求側の最終目標は

①慰謝料,②不貞解消,③違約金

等の条項を入れた「合意書」を不貞相手と締結することになります。

合意書は交渉で作成されるものです。

交渉は裁判を挟まないものですので,柔軟な取り決めができます。

 

違約金の請求とは?

違約金の請求とは,

「再度連絡をした場合1回につき〇円「再度不貞をした場合1回につき〇円というように金額を予め決めておき,破った場合にその金額を請求するというものです。

不貞解消の約束をより強固にする意味合いがあります。

※ 民法では,民法420条に賠償額の予定という条項があり,同3項に「違約金は,賠償額の予定と推定する」と規定されております。あらかじめ当事者で合意をする場合,合意した金額を尊重し,請求者の立証の負担を軽減させようとする趣旨の条項です。

 

違約金の額は絶対なのか?

Q 事案

合意書の違約金で「再度連絡をした場合1回につき300万円」,「再度不貞をした場合1回につき500万円」と定めたとしましょう。

ところが,合意後に2回連絡した・2回不貞したことが発覚した(2×300万円で600万円,2×500万円で1000万円)。

そこで,「合計1600万円を支払え」と請求できるのでしょうか?

A, 答え

違約金の請求は可能であるが,裁判では減額されることになるでしょう。

 

なぜ違約金が減額されるのかを解説

趣旨目的に照らして一見して著しく過大であると評価できる場合など公序良俗に反する内容の場合には無効・減額になるとされております。

では妥当な違約金の額はいくらくらいなのでしょうか?

近時の裁判例を分析していきましょう。

以下のような2つの裁判例があります。

1,東京地判令和03年10月28日判決

「再度の不貞行為を抑止することが主たる目的であって・・・,不貞行為1回あたり100万円という金額が、その趣旨目的に照らして一見して著しく過大であると評価することはできない。」として6回を認定し,600万円の請求をそのまま認容しました。

 

2,東京地判令和3年3月24日判決

連絡1回50万円,不貞行為1回200万円の違約金の約束をした後,旅行中複数回の不貞行為をした事案で「仮にその性行為が複数回行われたとしても、それは同一の機会における一連の不貞行為」と認定し1回とカウントして,「連絡も不貞行為に包括されるとして」,違約金200万円と認定しました。

 

【私見】

違約金を高額に定めても,無効や減額されるため,

違約金を決める場合は,上記裁判例に照らし,事案によりますが,一般的には1回100~200万円の範囲内(200だと少し高いかもしれません)というのが適切だと考えます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

違約金は金額・事案関係によっては相当程度減額される場合もあるということです。

したがって,高額な違約金条項を設けるのではなく,裁判でも認められ得る適正な違約金を盛り込むのが妥当と考えます。

また事案によっても適正な額は全く異なるので,

弁護士に相談することが妥当と考えます。

 

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弁護士 関真悟

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