当事務所は主婦の休業損害の案件を多く扱っております。
解決事例をみていただければわかるとおり,後遺障害非該当の事案においても,
総額100万円~220万円(主婦休業損害,傷害慰謝料,交通費)を獲得してきたことが何度もあります。
目次
■主婦休損の基本知識をまず知っておきましょう
①主婦の休業損害は,弁護士に依頼することによって増額できる可能性のある損害項目です。
自賠責基準と裁判基準(弁護士基準)で基礎とする日額が異なるからです。
②兼業主婦の休業損害は,家事労働か現実収入のどちからを採用します。
パートも家事も両方やっていても,実務ではどちらか(高い方)という結論になります。
③主夫の認定は厳しいですが,認められる場合もあります。
男性の家事労働の認定のためには様々な事実や証拠が必要になります(妻が正社員であったり,病気で入退院を繰り返している等)。
■弁護士への依頼有無で休業損害は具体的にどのように変わるか?
「弁護士への依頼の有無で具体的には,どのくらいの金額の違いがあるのでしょうか?」
次のように,「弁護士基準(裁判基準)>任意保険基準>自賠責基準」となっており,約2倍くらいの差がでてくることもあります。
・自賠責基準
自賠責基準は「5700円×休業日数」です。
・任意保険基準
自賠責基準の「5700円×休業日数」がほとんどです。
・弁護士基準(裁判基準)
平成28年度は「1万0397円×休業日数」です。
裁判所は「女性労働者の学歴計の平均賃金センサス」で年収を算出します。
平成28年度の年収は376万2300円とされております。
その年収を365日で割れば1日あたり1万0397円になるのです。
家事労働は日給1万0397円の価値があるのです。高いとみるか・低いとみるかは人それぞではないでしょうか?
なお,主婦にも専業主婦だけではなく,兼業主婦(家事と両立してパートや内職もしている主婦)もいるかと思います。兼業主婦の場合,現実の収入額と女性労働者の平均賃金を比較して,収入の多い方を基礎として日額を算出します。
■ 休業日数の算出には明確な基準はない!?
では,休業日数はどのように算出するのでしょうか。
給与所得者であれば実際に会社を休んだ日が休業日数になります。
主婦の場合,実際に家事ができなかった日は,入院していたときは別として,客観的な証拠がないのでどうやって算出するのか争いになるところです。
後遺障害14級の事案であると,大雑把に
① 実際に通院した日を休業日数とする方法
② 通院開始日から症状固定日までを4等分し,休業率を100%→75%→50%→25%と徐々に減らしていく方法(期間逓減方式)
などがあります。しかし,明確な基準はなく,家族構成や後遺障害の程度や事故前後の家事の内容などによってケースバイケースです。
専業主婦(48歳,併合7級)につき,賃セ女性学歴計(45歳~49歳)平均を基礎に事故当日から症状固定まで556日間,完全な休業を要したと認めた裁判例(大阪地判H13.1.25)などもあります。
経験上,後遺障害非該当事案でも,60日分程度は認められることが多い感覚はあります。
■ 最低限の証拠は残しておく
診療録(カルテ)には,自覚症状などが細かく記載されます。
医師に症状や労働能力の制限がある場合等はきちんと伝えておくことが大切です。
当職の経験で,14級の訴訟事案で,クライアントから提供を受けた日記やメールを精査し,争いのある期間で,明らかに家事ができていないことの証拠になる部分があって,当該期間の休業を立証できたこともあります。