【交通事故】接骨院や整骨院の施術費についての実務

交通事故の被害に遭われた方は,医療機関での治療・リハビリのみならず,接骨院・整骨院で「施術」を受けることがあるかと思います。実際に治療・リハビリと併用して接骨院・整骨院で「施術」を受けることで,効果があったという声をたくさん聞いてきます。

今回は,接骨院・整骨院の施術費について書いていきたいと思います。

いわゆる赤い本には,「症状により有効かつ相当な場合,ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向がある」と書いてあります(赤い本2016年P3)。

実際のところはどうか?

当職の経験を踏まえて,■ 示談交渉レベル と ■ 訴訟(裁判)レベル で分けて書きたいと思います。

■ 示談交渉のレベル

 原則,加害者付保の自賠責保険・任意保険を使用して施術を受けることになりますので,被害者の負担はありません。

 多少,施術日数や施術費の金額が膨らんでしまっても,加害者付保の保険会社側が弁護士をつけないかぎり,「症状により有効かつ相当な場合,ことに医師の指示がある場合などは認められる傾向がある」という要件を厳密にはみてこないので,そのまま示談できてしまう場合が多いです。

 ただし,のちのち訴訟(裁判)レベルになる可能性があることも踏まえれば,施術を受ける場合には医師の指示又は同意を得ておくべきでしょう。

 また,例えば,極端な例ですが,事故直後の1回のみ整形外科に通院し,あとは整骨院・接骨院だけに週6回施術というパターンは,後遺障害“等級なし”の結果になるうえに,トラブルが潜んでいる可能性があるので注意してください。

■ 訴訟(裁判)レベル

 訴訟(裁判)になれば,加害者(保険会社)側は弁護士をつけて,なるべく支払うべき費用を抑えるような反論を組み立ててきます。

 整骨院・接骨院の施術日数や施術費の金額が膨らんでいると,たいていは,①医師の指示又は同意がない,②施術の有効性・必要性がないから,〇か月目以降は損害ではないからカットされるべき,などの反論をしてきます(保険会社が接骨院・整骨院に支払い済みである場合にも反論してきます)。

 これに対し被害者側は再反論しなければならないので,上述のように,施術を受ける場合には医師の指示又は同意を得ておくべき,と書きました。

 裁判所は,保険会社が接骨院・整骨院に支払い済みの部分は,被害者側有利にみてくれる傾向はありますが,それでも整骨院・接骨院の施術日数や施術費の金額が膨らんでいる事案の場合は,全体の6割~8割くらいしか認定してくれない場合もあります(欠けた部分は満額の慰謝料認定で調整するしかありません)。

 裁判所は,施術費については,やや厳し目にみているといえます。

以上は,保険会社が接骨院・整骨院に支払い済みの場合を前提に書いてきましたが,保険会社が接骨院・整骨院に未払いの事案というものも存在しますので,またいつか書きたいと思います。

                  代表弁護士 関  真 悟

 

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